四国電力の佐伯勇人社長は16日、東京・六本木で原子力規制委員会の臨時会議に出席し、田中俊一委員長らと伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の安全性向上をテーマに意見交換した。
 規制委は安全への姿勢を明確にしてもらおうと電力会社トップとの意見交換を続けており四電とは2014年11月の千葉昭社長(当時)以来2回目。他の委員や四電幹部らも同席した。佐伯社長が設備強化や運転訓練による所員の能力向上といった安全性向上へのハード、ソフト両面の取り組みを説明し質疑応答した。
 更田豊志委員は、原子力事業者の中で比較的小規模な四電に原子力に関わる人材の厚みをどう確保していくか質問。四電側は「厚みは要員数だけではない。訓練や経験を積ませて一人一人の質を高め厚みを増す」と主張した。「私は素人」と繰り返す佐伯社長に更田委員が「専門家ではないという意味だろうが全体の指揮を執るトップが言うと不安を招く」と今後は慎むように促す場面もあった。
 一方、佐伯社長は規制委に対し「(新規制基準の適合審査を全国で)26基申請し許可が5基。後ろに行列ができている。効率的な審査をしてほしい」と要望。更田委員は「効率的な審査には申請側が自ら安全性を語れる態勢を確立することが重要」と指摘した。